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乙坂 重嘉; 馬場 正美*; 外川 織彦; Karasev, E. V.*
Pacific Oceanography, 1(2), p.149 - 157, 2003/12
北西部日本海の測点MSで、セジメントトラップ実験による沈降粒子の捕集と海底堆積物の採取を行い、粒子中の鉛-210と粒子の主成分(生物起源ケイ酸塩,生物起源炭酸カルシウム,有機物及びアルミニウム)を測定した。海水柱内における鉛-210の収支から、測点MSにおける鉛-210の循環は、(1)沈降粒子による除去と鉛直輸送,(2)深層での粒子の分解,(3)底層海流による水平輸送という3つの機構によって支配されていると見積もられた。鉛-210粒子束はAl粒子束とよい相関を示したが、生物起源成分の粒子束との関係は弱かった。この結果から、測点MSにおいて、鉛-210の海水からの除去は、陸起源粒子の沈降によって起こっていることが示された。水深3km層における鉛-210粒子束は、冬季から春季にかけて大きかった。この時期の鉛-210粒子束の増加は、西部日本海の沿岸域における冬季の鉛直混合によって、鉛-210に富んだ海水が測点MSの底層へ流入したことが原因であると考えられる。測点MSの深層における鉛-210粒子束の季節変動は、西部日本海における深層水形成のインジケータとして有効であることが示唆された。
山澤 弘実; 永井 晴康
JAERI-Data/Code 97-041, 56 Pages, 1997/10
大気-植生-土壌複合系内の放射性核種移行の媒体である空気及び水の動的挙動を表す数値モデル構築の第一段階として、大気と裸地土壌を対象とした1次元モデルを開発した。大気部分は、既存の1次元気象モデルPHYD1V3を基礎として作成し、水平風速成分、温位、比湿、霧水量等を予報的に解く。土壌部分は、温度、体積含水率及び土壌空気中比湿に関する予報方程式で構成される。大気-土壌間は、地表面熱収支式及び水収支式を用いて統合されている。大気及び土壌は多相に分割して記述されており、数値解法としては差分法を用いた。
渡邊 隆広; 國分 陽子; 村上 裕晃; 岩月 輝希
no journal, ,
地下水やボーリングコア試料中の希土類元素(REEs: Rare Earth Elements)の分布を明らかにすることにより、物質の供給源や酸化還元環境の変遷に関する情報を得ることができる。しかし、REEsの存在量は少ないことに加え、バリウム等の夾雑物による干渉のため定量分析が困難となるケースが多い。本研究では、キレート樹脂を用いて、天然水中のREEs分析手法の改良を行った。模擬試料として、混合した標準溶液、天然試料として河川水、および地下水を用いた。REEs濃縮のため、日立ハイテクフィールディング社製Nobias Chelate PA1キレートカラムを用いた。試料中の各元素濃度をICP質量分析計(Agilent 7700)により測定した。混合標準試料のキレート濃縮試験では、REEs、ウラン、モリブデン等で約90%以上の回収率を得ることができた。また、妨害元素であるバリウムに加え、ヒ素, ストロンチウムを99%以上除去することができた。比較的REEs濃度の高い湧水試料では、キレート処理をしない条件(ユーロピウム測定についてはバリウム干渉補正法を適用)で得られた希土類元素パターンと、サンプリング現場でNobias Chelate PA1による固相抽出法で回収した試料の測定結果とがよく一致した。